イエメンのコーヒー豆

以前から一度は焙煎してみたいと思っていた、イエメン産の生豆を少量仕入れました。

イエメン サナア モカ・マタリ
https://baisado.theshop.jp/items/123180388

イエメン共和国はアラビア半島の南西端に位置し、首都サナア近郊のバニ マタール地域で生産されたコーヒーは「モカ・マタリ」と呼ばれ、日本でも昔からよく知られていました。
「モカ」とはイエメン南西部の紅海に面した港町の名前で、この港から出荷されるイエメンおよびエチオピア(エチオピアは紅海の対岸に位置します)のコーヒーが「モカ」と呼ばれるようになりました(ブラジル産コーヒーが「サントス」と呼ばれるのも同様の理由からです)。

植物としてのコーヒーノキはエチオピア原産ですが、早くから紅海対岸のイエメンに持ち込まれていたようで、15世紀にはイスラム教神秘主義者(スーフィー)たちが、修行のために夜通し行う読経の助けとするため、火で炙ったコーヒーの実の種(いわゆるコーヒー豆)を煮出して飲んでいたとの記録が残っているそうです。つまり現在私たちが楽しんでいる飲み物としてのコーヒーはイエメンが起源なのです。

今回仕入れた生豆は、地元の小規模コーヒー農家が、収穫したコーヒーの実を自宅の屋根の上に広げて乾燥させるという昔ながらの方法で精選されているそうです。仕上がった生豆はかなり小粒でやや細長く、パッと見はエチオピアの豆と似ていますが、エチオピアに特有の花のような香りではなく、パンやスパイスのような、ある意味おいしそうな香りがします。
私たちは生豆を焙煎前に水洗いしていますが、水に浮く(比重の軽い)豆が比較的多く、現地での選別はそれほど厳格ではないように感じられます。またまれにコーヒー以外の植物の一部が水に浮いてくることもあり、素朴な作業ぶりが想像されます。

抽出したコーヒーには、ナチュラル(非水洗式)精選ならではの発酵感に加え、チョコレートやアーモンドのような風味が感じられます。
生産量の少なさや政情不安のため、イエメン産コーヒーは日本ではどうしてもお値段高めになってしまいますが、今回の商品は比較的リーズナブルですので、本物の「モカ」の味わいをぜひこの機会にお試しください。

baisado
京都下鴨の小さな珈琲焙煎所

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