生豆の作り方

 生豆(なままめ)は、豆と言われていますが、実はコーヒーノキというアカネ科の植物の実に入っている種です。

 コーヒーノキの実(見た目から「コーヒーチェリー」と呼ばれます)は、外側から順にこんな構造になっています。

  • (外)果皮
  • 果肉
  • 粘質物(ペクチン類)
  • 内果皮(パーチメント)
  • 銀皮(シルバースキンあるいはチャフ)
  • 生豆

  コーヒーチェリーから生豆を取り出す作業は「精選」と呼ばれ、大きく3つの方式があります。

非水洗式(ナチュラル)

 コーヒーチェリーをゆっくりと天日乾燥させ、干し葡萄のようにしてから脱穀して一気に生豆を取り出します。水に乏しい高山の傾斜地で行われてきた伝統的な精選方法で、ブラジル・エチオピア・イエメンなどの国では現在でも主流の方式です。現在のbaisadoのラインナップでは、「ブラジル セラード 山口農園 ブルボン 天日乾燥 Natural」がこの方式で作られています。

水洗式(ウォッシュト)

 コーヒーチェリーの果皮と果肉を機械で除去してから水槽に浸け、水中の微生物の力で粘質物を分解します。その後水洗いして粘質物を取り除いてから乾燥させ、最後にパーチメントを脱穀します。大量の水が必要で、排水処理にもコストがかかりますが、水洗いの過程で未成熟な実を取り除くことができるため、非水洗式に比べてクリーンな味になると言われ、世界的に主流の精選方法です。現在baisadoでは、水洗式で精選された「グアテマラ アンティグア アゾテア農園 ブルボン SHB」「ケニア マサイ AA」「コロンビア ウイラ マグダレナ SUP」「ペルー カハマルカ アルパカ G1」を取り扱っています。

 両者の中間的な方法として、「セミウォッシュト」や「パルプドナチュラル」と呼ばれる精選方法があります。果皮と果肉を機械で除去するところまでは水洗式と同じですが、粘質物を機械で除去し、水槽に浸けずそのまま乾燥に入ります。空気中でわずかに発酵が進むため、非水洗式のような風味が生まれるうえ、粘質物の除去の度合いによって風味の差を生み出せるため、生産者側の工夫の余地が大きい方法です。

スマトラ式

 粘質物を水槽に浸けて水洗いするところまでは水洗式と同じですが、乾燥の途中でパーチメントを脱穀し、生豆を裸にしてから再度乾燥させる、インドネシアのスマトラ島で伝統的に行われている精選方法です。生豆で乾燥させるため全体の乾燥期間が短くできます。雨が多く長期間の天日干しが難しいための工夫でしたが、裸の生豆を乾燥させる過程で「マンデリン風味」と呼ばれるハーブのような独特な風味が生まれ、乾燥後は美しい深緑色になります。現在のbaisadoのラインナップでは、「インドネシア マンデリン ビンタンリマ G1」がスマトラ式で作られています。

 最近では、同じ場所で収穫されたコーヒーチェリーを、水洗式と非水洗式の両方で精選して出荷するケースも増えています。もしそのようなコーヒー豆に出会ったら、ぜひ両方購入して味わいの違いを確かめてみてください。

baisado
京都下鴨の小さな珈琲焙煎所

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