ペーパーフィルターの話

前回のブログの続きです。

ペーパードリップでは、ドリッパーとペーパーフィルターがそれぞれ別の働きをしています。

ペーパーフィルターは、ドリッパーに溜まったお湯とコーヒーの粉の混合液から、エキス分が溶けたコーヒーだけを濾し取るための「濾紙」です。微粉などの個体はキャッチしつつ液体だけを透過するためには、すぐに目詰まりしてしまわないよう、フィルターにある程度の厚みが必要です。濾紙の表面にクレープ(僅かな凹凸)を作る、クレープを片面だけでなく両面に作る、そもそもフィルター自体を波型にするなど、メーカーごとにさまざまな工夫が行われています。

一方ドリッパーには、フィルターで濾過されたコーヒーを素早く排出することが求められます。そのためドリッパーの内面には「リブ(肋骨の意味)」と呼ばれる筋状の突起があり、ドリッパーとフィルターの間に空気層を作ることで、ドリッパーとフィルターの密着を防いでいます。フィルターのクレープや波型も「リブ」と同じ効果を狙ったものですし、壁面を波型にしたドリッパーも同様の工夫です。

このようにドリッパーとフィルターの密着を防ぐための様々な工夫がなされていることを考えると、ドリッパーにフィルターをセットした状態でお湯を注ぐ「リンス」と呼ばれる作業は、やらないほうがよいことになります。ドリッパーを温めたいだけなら、フィルターをセットする前にお湯を注ぐほうがよいですし、もしフィルターの匂いが気になるのなら、茶色いフィルターではなく酸素漂白された白いフィルターを用いれば大丈夫です。

baisadoでは、ドリッパーと同じ三洋産業製のフィルターを使っています。三洋産業はフィルター製造が発祥だそうで(メリタはドリッパーが、ハリオはガラスビーカーが発祥です)、素材選定や製法に一日の長があるのだそうです。実際、このフィルターは厚みがありながらしなやかさもあり、手触りが気持ちが良く使いやすいです。お店でも扱っていますので、一度お試しください。

baisado
京都下鴨の小さな珈琲焙煎所

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