アメリカ・カリフォルニア州オークランドのコーヒーロースター「Sweet Maria’s Coffee」は、コーヒーの生産や焙煎について詳しい情報を提供してくれており、定期的にチェックしているのですが、昨年末のケニア現地レポートがとても興味深いものでした。
Kenya Coffee – Practices Processing Quality
https://library.sweetmarias.com/kenya-coffee-practices-processing-quality/
収穫されたコーヒー果実がどのようにして集められ、どのように精選されて生豆(なままめ)になるかが、(言葉は分からなくとも)とてもよく分かります。
この映像ブログとセットで、ケニア現地訪問記も投稿されています。ビデオにも出てくる場面の写真が多く掲載されており、見ているだけで楽しくなります。
Updates from Kenya Coffee Lands
https://library.sweetmarias.com/updates-from-kenya-coffee-lands
この投稿の最後に、著者の感想が書かれています。
今年の収穫に対するさまざまなアプローチを見るのは興味深かった。いくつかの産地は間違いなく量を求めており、(ひょっとしたら)品質には手を抜いていたかもしれない。
私はそれをキリニャガで見た。そこでは乾燥ベッドがパーチメントコーヒーでいっぱいになっており、マネージャーはチェリーの買い付けがこの収穫ではなんと220万キロに達したと言っていた。溢れたコーヒーは地面に敷かれた防水シートの上で乾燥されていた。防水シートの上のコーヒーがおいしそうに見えたのは認める。しかし、それで十分なのだろうか?
実際、7日間でコーヒーを乾燥させるとマネージャーたちが言っているのを聞いて私も心配になった。それは短過ぎると私は思う。実際、あるマネージャーは5日と言ったが、バイヤー(訳註:著者)が聞きたいことではないとわかっていたのだろう、訂正した。超高速乾燥は品質を保持させるには問題になると思う。
ガツリリでは、農家がコーヒーチェリーを選別しているというが、袋をちらっと見ただけで、そのままチェリーホッパーに入れているのを見た。終業時間が近いからなのか、手抜きをしているように感じた。
大量生産を目指しているのなら、このようなことも理解できる。また、私はただの通りすがりであり、彼らのやり方が平均的にどのようなものなのかを総合的に判断する立場にはないし、品質にどのような影響があるのかを本当に注意する立場にもない。
私が危惧しているのは、マネージャー、コンサルタント、あるいは他の上層部があるべき基準を伝えることにより、人々は自分たちが何をすべきかを 「公式 」には知っていることだ。しかし実際には、それを実行するにはより多く働かねばならず、より困難であり、しかもそれを実行しても見合った報酬は得られない。
もしそれが現実なら、「コーヒーの専門家 」は、人々がやらない、やる気のない習慣を押し付けるべきではないと思う。実際に「ベストプラクティス」の重荷を背負わなければならない労働者たちと協力して、彼らが何ができるのか、何をする気があるのかを見極め、最良の結果を得るために協力するのがベストだと思う。
しかしその結果コーヒーの品質が向上するのであれば、そのプレミアムはどのように労働者に還元されるのだろうか?農家の場合はまだしも、ウォッシングステーションで働くために雇われた 「非正規労働者」についてはどうだろうか?私にとっては、これは大きな未解決の疑問である。そして、私はコーヒーステーションを管理しているわけではないので、大した答えは持ち合わせていない。しかし、いずれにせよ、私が生協を訪れ、生協のリーダーとこの問題について話し合うときに、このことを尋ねることはできる。
収穫量が増えるのは生産者にとって喜ばしいことですが、それが度を超すと品質向上が軽んじられてしまう。皮肉なことですが、言われれば確かにありそうな話で、さらにこれはコーヒー生産に限らない話だとも思います。
私たちはいつも質の高い生豆を適正な値段で手に入れたいと願っていますが、豊作になったらなったで質の高い生豆が入らなくなる可能性があることを知ったいま、生豆の仕入れには一層慎重にならねば、と思わされました。