baisadoの本棚から(12)

先日コーヒーに関するオンラインセミナーを受講した際、興味深い本の紹介がありました。早速探したところ残念ながら絶版のようでしたが、古書を入手できました。

柄沢和雄著「コーヒードリンク246」(柴田書店)

コーヒー業界に長い経験を持つ著者が足で稼いだ世界各国の多種多様なコーヒー飲料を、現地そのままのレシピと、そのレシピで実際に作ったドリンクの写真で紹介した本です。よくぞこれだけの種類を探し集め、かつ実際に作ってみられたものだと、まずは著者の情熱に感心します。

興味深いのはこの本の章立てで、全部で246種のドリンクを「トラディショナル」と「ニューウェーヴ」に大別し、おもにヨーロッパ各国のドリンクを「トラディショナル」、アメリカ合衆国のドリンクを「ニューウェーヴ」に分類しています。
「ニューウェーヴ」という表現は最近めっきり聞かなくなりましたが、それもそのはず、この本の出版は1995年、まだ日本にスターバックスコーヒーが進出していなかった時期なのです(ちなみに日本1号店の開店は1996年8月だそうです)。

この本の後半では世界各国のコーヒー飲用事情が紹介されていますが、これもまた非常に興味深い内容で、例えばアメリカ合衆国のコーヒーシーンが、それまで主流だった浅煎り豆で淹れた(やや紅茶風の)コーヒー(いわゆる「アメリカン」)から、スターバックスをはじめとする「ニューウェーヴ」コーヒー店が提供する、深煎り豆で淹れたエスプレッソ系コーヒー飲料に置き換わりつつあることを、最新情報として紹介しています。例えば以下のように。

スターバックスのアイスト・コーヒーはアメリカ人を魅了した
 アメリカのアイスト・コーヒーの味が変った。おいしくなったのである。ダークローストの豆を使ってホットコーヒーを抽出しこれをアイスト・コーヒーにして作るからコクがあって美味しいはずである。しかも豆は全部アラビカ種を使っているようだ。

著者はスターバックスなどで提供されるエスプレッソ系ドリンクを「グルメコーヒー」と呼んでいますが、この言葉も現在あまり使われなくなっているように思います。30年の時間の流れを感じます。

多少欧米に情報が偏ってはいるものの、中東・南米・アジアにも一通り目が配られており、(少なくとも当時の)世界のコーヒー事情を一通り理解するには非常に良い本だと思います。巻末には世界主要都市の有名カフェと名物ドリンクのリスト化もあり、海外旅行の際に役立つかもしれません。また、各ドリンクのレシピが明記されているので、アレンジコーヒーやコーヒーを使ったカクテルを提供するレストランやバーの関係者にも参考になりそうです。私たちもいくつか試してみるつもりです。

baisado
京都下鴨の小さな珈琲焙煎所

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