酸っぱさと酸味

 baisadoにいらっしゃったお客さんに「お好みはありますか?」とお聞きすると、およそ半数の方が「酸味があんまり得意じゃなくて」とおっしゃいます。そこで、その日のラインナップの中から、酸味が少なめな商品を選んでお勧めしています。

 酸っぱさが前面に出たコーヒー、実は私たちもあまり好みではありません。でも、コーヒーの甘味や苦味を引き立てるような酸味は好きです。英語でも「酸っぱさ」は「sour」、「酸味」は「acidity」と、別の言葉で表現されるそうです。酸っぱさと酸味、何が違うのでしょうか。

 コーヒーの生豆(なままめ)に含まれている糖や酸を焙煎すると、加熱による化学反応によって酸味や甘味や苦味が作り出されます。そのバランスは産地や品種によって異なりますが、焙煎度合いによっても大きく変化します。一般に、焙煎が進むにつれて酸が増えていきますが、さらに焙煎を続けると酸が分解されて減少し、代わりに苦味成分が増えていきます。その結果、いわゆる「浅煎り」では酸味が強調され、「深煎り」では苦味が強調されることになります。

 baisadoでは、全ての商品を同じ焙煎度で仕上げています。いわゆる「中深煎り」と呼ばれ、酸味と苦味のバランスが取れていて、甘味も感じられる、産地や品種の特徴が表現されたコーヒーを目指しています。

 もちろん味覚は個人差が大きいものですが、極端に酸っぱい、あるいは苦いコーヒーだとは感じられないと思います。「酸味があんまり得意じゃなくて」と日頃お感じの方、お店にお越しの際は、一度「おいしい酸味」のコーヒーも試してみてください。

baisado
京都下鴨の小さな珈琲焙煎所

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