苦味の出し方・抑え方

baisadoでは、主に「中深煎り」と呼ばれる焙煎度でコーヒー豆を焙煎していますが、お客さまから「深煎りはないの?」とのご要望をいただくことが多くあり、看板商品の「ハウスブレンド」を深煎りに仕上げてご提供しています

おかげさまでご好評いただいていますが、普段浅煎りや中深煎りのコーヒーを飲みつけている方には、少し苦味が強く感じられることがあります。

焙煎したコーヒー豆に含まれる酸味成分や苦み成分の総量は、焙煎によって決まってしまいます。大雑把に言って、苦み成分が増える前に焙煎を止めれば「浅煎り」、加熱を続けて苦み成分が増えてから止めれば「深煎り」です。また酸味成分は焙煎プロセスの中盤までは増加し、終盤では減少(熱分解)します。その結果、浅煎りのコーヒーは酸味が際立ち、深煎りのコーヒーは苦みが際立つことになります。

ところで、焙煎したコーヒー豆に含まれる酸味成分と苦み成分は、お湯に溶け出すスピードが異なる(酸味成分は速く、苦み成分は遅い)ことが知られています。童話に例えると、酸味成分はウサギ、苦み成分はカメです。

酸味成分は元々足が速いため、抽出方法を変えても成分の出方はあまり変わりませんが、足の遅い苦み成分は、抽出方法によってある程度コントロールが可能です。具体的には以下の通りです。

1.挽き目を変える
コーヒーの挽き目が細かいほど、粒の内部から表面までの距離が近くなり、成分が出てきやすくなります。従って、細挽きのほうが苦み成分をたくさん抽出できます。

2.お湯の温度を変える
コーヒーの粉に当たるお湯の温度が高いほど、成分が溶け出しやすくなります。従って、熱いお湯を使うほうが苦み成分をたくさん抽出できます。
逆に、お湯の温度が低いほど苦み成分は抽出しにくくなります。常温の水で抽出する「コールドブリュー」の風味がまろやかに感じられるのは、これが一因です。

3.抽出にかける時間を変える
コーヒーの粉がお湯に当たる時間が長いほど、成分がたくさん溶け出します。従って、抽出に時間をかける(ドリッパーにお湯をゆっくり落とす/フレンチプレスの抽出時間を長くする)ほうが苦み成分をたくさん抽出できます。
ポットに入れた麦茶パックや水出しコーヒーバッグを長く入れたままにすると苦くなってしまうのと同じ原理です。

深煎りの苦みをしっかり楽しみたい方は、足の遅いカメでもゴールできるよう、細挽きの粉を熱いお湯でじっくり抽出してみてください。一方深煎りは好きでも苦みは苦手という方は、カメがゴールにたどり着けないよう、粗挽きの粉を少し冷ましたお湯でサッと抽出してみてください。想像するよりもはっきりと違いが出て面白いですよ。

参考文献:石脇智広著「コーヒー『こつ』の科学」(柴田書店)

baisado
京都下鴨の小さな珈琲焙煎所

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