少し前、テレビのニュース番組から「モカ」という言葉が聞こえてきてハッとしました。調べてみるとこんな記事でした。
[アデン/ドバイ 10日 ロイター] – イエメンの親イラン武装組織フーシ派は10日、西部の戦略的な港湾都市モカを制圧し、紅海の要衝であるハニシュ諸島に到達した。イエメン政府筋が明らかにした。フーシ派は世界有数の海上輸送路であるバベルマンデブ海峡への影響力を一段と強めた格好だ。
「フーシ派、イエメンの要衝湾港モカ制圧 紅海航路への影響拡大」(ロイター、2026年9月10日))
コーヒー業界では、エチオピアあるいはイエメン産のコーヒーを「モカ」と呼びます。インドネシアの「マンデリン」やブラジルの「サントス」と並び、古くから親しまれている銘柄です。
モカはイエメン南西部に位置する港湾都市で、かつてコーヒーの一大輸出拠点でした。その始まりは15世紀に遡るそうで、コーヒーの原産地であるエチオピアから、紅海対岸のイエメンへとコーヒーノキが伝わり、両国産のコーヒーがモカ港からヨーロッパへ輸出されるようになりました。当時コーヒーはまだエチオピアとイエメンでしか栽培されていなかったため、「モカ」はコーヒーの代名詞でした。
余談ですが、その後17世紀末にはオランダ領ジャワ(現インドネシア)でもコーヒー栽培が始まりました。そこで、両者をブレンドした「モカ・ジャバ」は「世界最古のブレンド」と呼ばれることがあります。
時は流れ、コーヒーは世界中で生産されるようになり、モカ港もイエメン産コーヒーも存在感が薄れてしまいました。長く続く政情不安のため入手は容易ではありませんが、現在でもイエメンでは独特の風味を持ったコーヒーが昔ながらの製法で生産されています。早く内戦が収束し、おいしい「モカ」を気軽に楽しめる日が戻ってくることを願うばかりです。
