baisadoの淹れ方レシピ(202401版)

コーヒーの淹れ方には、サイフォン式・ドリップ式・プレス式など、さまざまな種類があります。baisadoではペーパードリップでコーヒーを淹れていますが、これもまたやり方は多種多様です。

お客さんに「どうやって淹れているの?」と尋ねられることが何度かありましたので、baisadoでの(現在の)淹れ方をご紹介します。

○器具

ドリッパー:三洋産業というメーカーの台形ドリッパーを、少し改造して使っています。2人前用は1つ穴・4人前用は2つ穴・6人前用は3つ穴と、大きさによって穴の数が違うのが特徴で、例えば同時に2人前と4人前の注文が入った時にも、同じペースで淹れられるのがとても便利です。

ペーパーフィルター:同じく三洋産業製を使っています。実はペーパードリップのポイントは紙の質で、メーカーによってかなりの差があります。このメーカーの紙は厚みがありつつしなやかで、手触りも心地よいです。

コーヒーサーバー:同じく三洋産業製を使っています。透明度と耐衝撃性の高い樹脂製で、ガラス製のものほど気を使わずに使えます。

ポット:「珈琲考具」というブランドの細口ポットを使っています。安定して細くお湯を落とせるので気に入っています。

その他:毎回できるだけ条件を揃えられるよう、キッチン用の秤と温度計とタイマーを使っています。

○淹れ方

・秤の上にコーヒーサーバーとドリッパーを置き、熱いお湯を注いで温めます。同時にコーヒーカップも温めます。

・ドリッパーの水気を切り、ペーパーフィルターをセットします。

・コーヒーの粉をドリッパーに投入します。1人前の時は13グラム、2人前の時は20グラムにしています。ドリッパーを軽く揺すって表面を水平にします。

・ポットに熱いお湯を注ぎ、温度計を挿します。同時にコーヒーサーバーのお湯を捨てます。

・ポットのお湯が87度まで下がったら、温度計を取り出してポットに蓋をします。

・タイマーをオンにして、ポットから静かに細く、粉の量より数グラムほど多い量のお湯を、1人前なら10ほど、2人前なら20秒ほどかけて、粉の表面全体に落とします。ただし、できるだけ紙に直接お湯がかからないようにします。しばらくすると、ドリッパーからサーバーにコーヒーが数滴落ちてきます。

・お湯を注ぎ終えたら、30秒ほど待ちます。お湯の当たった粉から二酸化炭素が放出され、粉がドーム状に膨らみます。これを「蒸らし」といい、美味しいコーヒーを淹れるために必須の待ち時間です。

・30秒後、1人前なら10秒ほど、2人前なら20秒ほどかけてお湯を注ぎ、同じ時間だけ待ちます。注ぐ場所はドリッパーのど真ん中の一点です(「の」の字を描きません)。これを3度繰り返します。1回のお湯の量は、覚えやすさのため、1人前の時は50グラム、2人前の時は100グラムにしています。

・「注ぐ・待つ」を3度繰り返したら、1人前なら130グラム・2人前なら260グラム抽出したところでドリッパーを上げます。ここまで1人前でおおよそ2分、2人前でおおよそ3分になります。

・カップのお湯を捨て、ドリッパーの中のコーヒーを優しくかき混ぜ、カップに注ぎます。

お店でコーヒーを淹れる際には、味だけでなく安定性や効率性も考える必要がありますが、「沸騰したお湯を使わない」「最初にドバッとお湯を注がない」「蒸らす」などは、自宅で淹れる際にも使えるワザですので、一度お試しください。

朝の生豆洗い

年明け早々の大きな天災や事故に心を痛めつつ、2024年の営業が始まりました。

baisadoでは、焙煎前に生豆を水洗いしています。雑味がなく、冷めても飲みやすいコーヒー作りには欠かせない作業です。

朝、一回あたり数百グラムの生豆をザルに入れ、ボウルいっぱいの冷水に20分ほど浸した後、水を替えながら何度かゴシゴシと洗います。この作業をお米に例えて「水研ぎ」と呼ぶ方もおられます。

生豆を水に浸して20分後にザルを上げると、水は透き通った茶色に変わっています。生豆の産地や精選方法によって、赤みがかっていいたり緑がかっていたりします。色の濃さも様々です。

一度目のゴシゴシ洗いの後は、ボウルの水が濁ります。生豆が見えないほど濁ることも。表面に付着した果肉や、日本への長旅のうちについた汚れではないかと思います。

二度目以降は水の濁りが消え、代わりに生豆を覆う薄皮(チャフと呼ばれます)が少しずつ剥がれてきます。数回洗った後に重量を測り、干物作り用の干し網に入れて天日干しします。

夏の生豆洗いはとても楽しい作業ですが、冬場は水が冷たく、何種類も洗うと手が痺れてきますし、屋外に干してもなかなか乾きません。それでも、洗って干した生豆を焙煎したコーヒーの美味しさを知ってしまったので、この作業はやめられません。これからもずっと、「朝の生豆洗い」習慣を続けていこうと思っています。

2023年 baisado 十大ニュース

今年も残りわずかになりました。そして一気に寒くなりました。

baisadoでの小さな出来事を通じて、この一年を振り返ってみたいと思います。

1.人生初の雪下ろし(1月)

  • 突然の大雪で京都市内は一面銀世界になり、お店の前の歩道はアイスバーン状態、屋根にもガッツリ雪が積もりました。雪掻き道具がないので塵取りで代用し、汗と冷や汗をかきながら屋根から雪を下ろしました。この冬はどうなるのでしょうか。

2.ハワイ コナコーヒー取り扱い開始(4月)

  • いつか焙煎してみたかった高級豆、ハワイのコナコーヒー。生産・輸出入・販売を全て自社で行う会社と偶然のご縁で出会い、100%コナコーヒーを入手できました。噂に違わぬ品の良さとバランスの良さで、お客様にもご好評いただきました。また、売上の一部をマウイ島山火事支援金に寄付する予定です。

3.開店一周年(4月)

4.季節のブレンドシリーズ完結(6月)

  • 昨年秋から季節のブレンドをご提案してきましたが、「夏ブレンド」で一周しました。ブレンドコーヒーは「豆屋」の腕の見せ所と言われるため、毎回少し緊張していましたが、ありがたいことにいずれもご好評いただいています。

5.茶旗新調(10月)

  • 開業当初から、焙煎豆柄の「茶旗」を軒先に吊るしていましたが、「地味すぎる」「何屋か分からない」とのお声がありましたので、「珈琲」と大書された茶旗に新調しました。遠くからでもコーヒー屋があることに気づいていただけるようになった、と思います。

6.焙煎量アップ(10月)

  • 250グラムからスタートしたbaisadoの焙煎ですが、品数も販売量も増えてきたため、一回の焙煎量を600グラムに増量しました。焙煎機に投入する生豆の量を変えると、火力調節のレシピを見直す必要がありますが、試行錯誤の結果、安定して焙煎できるようになりました。

7.デカフェ取り扱い開始(10月)

8.ガスファンヒーター導入(11月)

  • 冬場は屋外並みに冷え込むbaisado、昨冬は電気ヒーターとエアコンで凌ぎましたが、空気の乾燥に苦しめられました。そこで今年はガスファンヒーターを導入。あっという間に温まる上に空気も乾かず、快適になりました。冬本番への準備は万端です。

9.「飲み比べセット」販売開始(11月)

  • 取り扱い商品がブレンドを含めて9種類になったので、全種類を器具のいらないドリップバッグでお楽しみいただける「飲み比べセット」をご用意しました。ご注文いただいてから手作りしますので、それぞれの独特な香りと風味を、ご自宅でもしっかりお楽しみいただけます。

10.賃貸契約更新(12月)

  • 2021年末に物件の鍵を預かってから、あっという間に2年が経ちました。オーナーさんに契約更新を了承いただきましたので、引き続きこの場所で営業を続けられそうです。来年も引き続きどうぞよろしくお願いします。

冬の新商品(1)

長い夏と短い秋を経て、いよいよ冬がやってきました。

おいしいホットコーヒーを楽しんでいただけるよう、この冬も新しい商品をご用意しています。

第一弾はこちらです。

エチオピア イルガチェフェ ゲルシ G1 Natural

しばらくお休みしていました、エチオピア産コーヒーが再登場です。

エチオピアはコーヒーの原産地です。その中でも南エチオピア州(2023年8月に「南部諸民族州」が分割されて創設)ゲデオ県イルガチェフェ郡産のコーヒーは、明るい柑橘系の香りと爽やかな風味が特徴で、大変人気があります。我々も大好きです。

今回ご紹介する「ゲルシ」は、伝統的なナチュラル(非水洗)方式で精選されており、イルガチェフェの特徴的な香りが一層引き立っています。生産地名の「ゲルシ」は現地の言葉で「協力」を意味するそうです。

改良されていない在来品種の生豆は小粒で細長く、焙煎すると甲高い音で爆(は)ぜ、微かな柑橘香がふんわりと辺りに漂います。一日寝かせると香りがはっきり感じられるようになり、日に日に香りが深くなります。注文をいただいて密封瓶を開けるたびに、幸せな気持ちになります。

エチオピア・ケニア・ルワンダと、これでアフリカ産コーヒーが勢揃いしましたので、久しぶりに「アフリカントリオ」もご用意しています。ぜひ一度お試しください。

デカフェの作り方

 お店を訪れてくださるお客さまから時折、「コーヒーは飲みたいが体質的にカフェインを取れない」「寝る前にもコーヒーを飲みたい」という声をお聞きしていました。そこで、デカフェ(カフェインレスコーヒー)を取り扱ってみることにしました。

 baisado初めてのデカフェとして選んだのは、こちらです。

ブラジル セラード プリマヴェーラ農園 カトゥアイ Natural

https://baisado.theshop.jp/items/79475637

https://baisado.theshop.jp/items/79657921

 baisadoでいつも扱っているブラジル・セラード産であることに加え、単一農園・単一品種・伝統的なナチュラル製法であることに興味を持ちました。生豆は独特の暗い色をしています。

 このコーヒー、「スイスウォータープロセス」という処理方法により、風味を損なうことなく、コーヒーに含まれるカフェインだけが99.9%除去されているとのこと。

 どんな処理方法なのか興味が湧き調べてみると、スイスウォーター社という(なぜか)カナダの会社の特許製法で、概ね以下のような手順でデカフェコーヒーを作るそうです。

  • 生豆をぬるま湯に浸けてふやかし、水溶性の成分を溶け出しやすくする
  • 純水に生豆を浸し、(カフェインを含む)水溶性の成分が限界まで溶け込んだ液体(Green Coffee Extract(GCE))を作る(この生豆は堆肥にして活用される)
  • GCEをカーボンフィルター(活性炭)に通し、カフェインだけを取り除く(使用後の活性炭は、加熱炉でカフェインが除去され再利用される)
  • 別の(販売用の)生豆を、カフェインが除去されたGCEに浸す
  • 生豆からカフェインだけがGCEに溶け出す(他の水溶性の成分はGCE中に飽和しているため溶け出せない)
  • カフェインが溶け込んだGCEをカーボンフィルターに通してカフェインだけを取り除き、再び生豆を浸す(これを何度も繰り返す)
  • 生豆からカフェインが99.9%除去されたら、GCEから取り出して乾燥させ出荷する

 以下のビデオで、この手順が分かりやすく紹介されています(日本語字幕もあるようです)。

 肝心の風味ですが、一口目こそ「いつものコーヒーと少し違うかな?」という感じがするものの、飲んでいるうちに気にならなくなります。また、味わいに物足りなさは感じません。カフェインが苦手な方だけでなく、気にならない方にも日常的に飲んでいただけそうです。

 他の商品よりさらに少量ずつ焙煎しているため、時には切らしてしまうこともありますが、店頭あるいはオンラインショップで見かけられたら、ぜひ一度お試しください。

アラビカコーヒーの伝播史(2)

 前回は、アラビカコーヒーの二大源流の一つ、ティピカ種の歴史をご紹介しました。今回は、もう一つの源流であるブルボン種の歴史です。「ティピカ」は「典型的な」という意味の名前ですが、「ブルボン」はなんと島の名前でした。

 記録によると、フランス人は1708年・1715年・1718年の三度、コーヒーをイエメンからブルボン島(現在のレユニオン島)に導入しようと試みており、最近の遺伝子研究もこのことを裏付けています。ただ、このうち成功したのは二度目のごく少数および三度目の幾らかの木だけでした。19世紀の半ばまで、ブルボン島のコーヒーが島外に出ることはありませんでした。

 アフリカへのブルボン種の普及には、(精霊修道会の)スピリタンスとして知られるフランス人宣教師たちが大きな役割を果たしました。1841年に、最初の伝道団がレユニオン島で結成されました。続いて1859年にはザンジバル島で、1862年にはバガモヨ(タンザニア沿岸部の町・当時の呼称はタンガニーカ)とセントアウグスティン(ケニア・キクユにある町)で、さらに1893年にはブラ(ケニア・タイタヒルズにある町)に伝導団が結成されました。そのそれぞれにおいて、レユニオン島で収穫されたコーヒーの種子が植えられました。

 セントアウグスティンの苗木はケニアの高地で広範囲に植えられた一方、バガモヨの苗木はタンザニア側のキリマンジャロ地域にいくつかのプランテーションを設立するのに用いられました。早くも1930年には、タンザニア・モシ近郊のリャムンゴにある研究施設が、バガモヨ産の種子が植えられたプランテーションのすぐそばで発見された、並外れて優れた母樹の「集団選択」に基づく、公式なコーヒー繁殖プロジェクトを開始しました(「集団選択」は「マッサル・セレクション」とも呼ばれ、優れた特性を持つ個体群を選抜し、それらから得られた種子を集めて次世代の個体を育てるプロセスを繰り返すことです)。この研究施設は、現在のタンザニアコーヒー研究所(TaCRI)中央研究施設の母体です。

 ブラからの苗木は、1899年にセントオースティン(ナイロビ近郊)にある別の伝教団に届けられ、そこから得られた種子がコーヒー栽培を希望する住民に配られました。これがいわゆる「フレンチ・ミッション」コーヒーの起源です。

 最近のDNA指紋鑑定によって、CoorgやKentとして知られる古いインドの品種は、ブルボン種の子孫として位置付けられることが示されています。このことは、1670年にババ・ブーダン(訳註:17世紀インドのスーフィー(イスラム神秘主義者))によって、イエメンからインドに持ち出された最初の種子には、おそらくブルボン種系統とティピカ種系統の両方が含まれていたことを示しています。さらにこのことは、オランダが1696年と1699年に(よく言われるようにイエメンからではなく)インドから種子を持ち運んだ際に、ティピカ種の系統がブルボン種から分離したことを意味していると思われます。

 ブルボン種は1860年に初めてアメリカ大陸(ブラジル南部のカンピーナス近く)に導入されました。そしてそこから北上して中米諸国へと広まっていきました。

https://varieties.worldcoffeeresearch.org/arabica-2/history-of-arabica

アラビカコーヒーの伝播史(1)

 お米やブドウなどと同じく、コーヒーにもたくさんの品種がありますが、これらのほぼすべてがアラビカ種(和名:アラビカコーヒーノキ)とカネフォラ種(和名:ロブスタコーヒーノキ)のいずれかに属しています(代表的な亜種の名前から、カネフォラ種は「ロブスタ種」と呼ばれることが一般的です)。

 World Coffee Researchというアメリカの民間コーヒー研究組織が、世界中で栽培されているアラビカ種とロブスタ種のコーヒー品種をカタログ化していますが、

Coffee varieties catalog
https://varieties.worldcoffeeresearch.org/

その中に「アラビカの歴史」という一章があり、とてもコンパクトに分かりやすく書かれていましたので、皆さんにもご紹介します。

 アラビカコーヒーノキ(coffea arabica)は、エチオピアが原産で、そこにはこの種が持つ遺伝的多様性の多くが見出されます。最初のコーヒーの種子は、エチオピア南西部のコーヒーの森から(訳註:紅海を挟んだ対岸の)イエメンへ持ち込まれ、そこで作物として栽培された、と歴史家は考えています。農家や育種家は、これら初期のコーヒーの木から、作物としての性能や自然条件への適応力にそれぞれ特徴を持つ、現在広く栽培されている何十ものアラビカコーヒーの品種を、選び出し、あるいは作り出しました。

 最近の遺伝子検査では、エチオピアからイエメンへ持ち込まれた種子のうち主要なものは、ブルボン種とティピカ種に関連していることが確認されています。ブルボン種とティピカ種の子孫は、イエメンから世界中に広がり、現代のアラビカコーヒー栽培の基礎を形成しています。

 1600年代後半までに、コーヒーの木はイエメンを離れ、インドで繁殖していました。これらの種子によって、当時マラバールと呼ばれていたカルナータカ州マイソール地域に、コーヒープランテーションが形成されました。最近の遺伝子解析の結果、ティピカ種とブルボン種両方の近縁品種が、このイエメンからインドへのコーヒー伝播の際に含まれていたことが分かっています。このうちティピカ種の系統は、オランダが1696年と1699年に、マラバールの海岸からジャワ島の大都市バタビア、すなわち現在のインドネシアの首都ジャカルタへとコーヒーの種子を送った際に、おそらくブルボン種の系統と別れたと考えられています。オランダは(訳註:それより前の)1690年に、イエメンからバタビアへとコーヒーの種子を直接持ち込もうとしましたが、生育したコーヒーの木は、1699年の地震で失われてしまいました。言い換えれば、ティピカ種の系統が他の品種から分離し、その後世界中に広まったのは、コーヒーの種が(これまでよく言われてきたような)イエメンからの直接ルートではなく、インド経由でインドネシアへと伝わったからだ、と考えられます。

 1706年、インドネシアのジャワ島に導入されたこのティピカのグループから、一株のコーヒーの木がアムステルダムへと持ち込まれ、植物園に植えられました。この一株が、18世紀にアメリカ大陸を支配したティピカ種(ただし、ティピカの遺伝子グループに含まれる多くの品種の一つに過ぎません)になりました。1714年、オランダとフランスの間でユトレヒト講和条約が結ばれた後、アムステルダム市長はルイ14世にコーヒーの苗木を献上しました。この苗木はパリ植物園の温室に植えられ、すぐに種子が得られました(Chevalier and Dagron, 1928)。

 オランダからは、1719年にはオランダ領ギアナ(現スリナム)へ、1722年にはカイエンヌ(現仏領ギアナの首都)へ、さらに1727年にはブラジル北部へと、植民地貿易ルートを通じて苗木が送られました。そして1760年から1770年にかけて、ブラジル南部にまで到達しました。

 フランスからは、1723年に西インド諸島のマルティニーク島へ苗木が送られました。1730年にはイギリス人がマルティニークからジャマイカへティピカ種を導入し、1735年にはサントドミンゴ(現ドミニカ共和国の首都)にまで到達しました。1748年にはサントドミンゴからキューバへと種子が送られました。その後コスタリカ(1779年)とエルサルバドル(1840年)が、キューバから種子を受け取りました。

 ティピカ種はさらにブラジルからペルーとパラグアイへと広まりました。18世紀後半には、カリブ海諸国(キューバ、プエルトリコ、サントドミンゴ)、メキシコ、コロンビアへと栽培が広がり、そこから中米全域へと広がりました(エルサルバドルでは1740年までには栽培されていました)。1940年代まで、中米のコーヒー農園の大半はティピカ種を栽培していました。この品種は収量が低く、主要なコーヒー病害に非常に弱いため、アメリカ大陸の大部分で徐々にブルボン種に取って代わられましたが、ペルー、ドミニカ共和国、ジャマイカでは今でも広く栽培されています。

https://varieties.worldcoffeeresearch.org/arabica-2/history-of-arabica

秋の新商品(2)

コロンビアに続き、この秋もう一つ新しい生豆を仕入れました。

インドネシア アチェ マンデリン “タブー” SG

https://baisado.theshop.jp/items/78704797

インドネシア・スマトラ島の北端に位置するアチェ州で生産された、高品質なスマトラマンデリンです。

「スマトラ式」と呼ばれる独特な精選方法により、生豆は深緑色を帯び、焙煎するとハーブを思わせる独特な風味とコクが生まれます。

また「SG」とは「スーパーグレード」の略称で、通常よりも手間暇をかけた精選と選別が行われたものに与えられる格付けです。

「タブー」とは現地の言葉で「素晴らしい味」を意味するそうで、飲んでみるとマンデリンらしさはしっかり感じられつつも、飲み心地は非常にクリーンです。

新しいインドネシアコーヒーを、どうぞお楽しみください。

秋の新商品(1)

秋のお彼岸が過ぎ、猛烈に暑かった夏もようやく終わりが見えてきました。

朝晩の涼しい空気に触れると、ホットコーヒーが恋しくなってきます。

そんな季節の変わり目に、新しい生豆を2種類迎え入れました。

今日はその一つをご紹介します。

コロンビア マグダレーナ “パシオン デ ラ シエラ” ティピカ EX

https://baisado.theshop.jp/items/78704827

ブルボンと並ぶ、最も古い栽培品種であるティピカ100%のコロンビアコーヒーです。

原種の特徴をよく留めているティピカは、樹高が高くて収穫しづらいうえに収量が少なく、加えて病気にも弱いため、生産者が減少しているそうですが、風味は改良品種に勝ると言われています。

この豆の等級はEX(エクセルソ)で、これまで扱っていた商品のSUP(スプレモ)より少し小ぶりですが、焼き上がりはとても美しく、花を思わせる素晴らしい香りがします。

また風味は非常にクリーンで、穏やかな酸味がスッと消えた後に甘みが残ります。冷めると風味がさらに強く感じられ、飲み終えるのが惜しいと思うほどです。

9月からご提供している「秋ブレンド」にも脇役として参加し、風味をグレードアップしてくれている、スペイン語で「山脈の情熱」と名付けられた秋の新商品を、どうぞご贔屓に。

残暑の新商品

朝晩こそ少し涼しくなってきましたが、日中はまだ真夏の暑さですね。

この時期を爽やかに乗り切っていこうと、新商品をご用意しました。

baisado モカジャバ

https://baisado.theshop.jp/items/78077167

「モカジャバ」とは、「モカ」コーヒーと「ジャバ」コーヒーのブレンドです。チョコレート味やココア味のコーヒー飲料ではありません。

「モカ(Mocha)」は中東・イエメンにある港の名前で、ここから出荷されるイエメンやエチオピア(両国は紅海を挟んだお向かいさんです)産のコーヒー豆は「モカ」と呼ばれました。ちなみに、ブラジル産のコーヒー豆が「サントス」と呼ばれることがありますが、これも港の名前です。

また「ジャバ(Java)」はインドネシア・ジャワ島のことで、オランダ植民地時代にイエメンのコーヒーの苗がインド経由で伝わったそうです。

「モカ」と「ジャバ」からヨーロッパに届いたコーヒー豆は、混ぜ合わされて「モカジャバ」と呼ばれました。実はこれが世界で最初のブレンドコーヒーと言われています。

baisadoでは、いま扱っている商品の中から「エチオピア イルガチェフェ ベレカ G1」と「インドネシア マンデリン ビンタンリマ G1」を組み合わせました。試飲の結果、エチオピアを少し多めに配合しています。

エチオピア由来の爽やかな甘さと酸味に、インドネシア由来のハーブ感やコクが加わり、とても美味しいコーヒーになりました。

実は一時期、お店でお出しするアイスコーヒーをこのブレンドにしていたのですが、とても好評でしたので、このたび商品としてご提供することにしました。

しっかりした味わいがありながらスイスイ飲めるこのブレンドを、ぜひ一度お試しください。