ドリップバッグスタンド

先日知人から「ドリップバッグスタンド」という便利グッズを紹介してもらいました。

https://kokubo.co.jp/goods/kk-526.html

このスタンドをカップの上に載せ、そこにドリップバッグを引っ掛けると、ペーパードリップのようにコーヒーを淹れられる、というアイデア商品です。

ペーパードリッパーにも、お湯にしっかり浸して抽出するタイプ(例:メリタ)がありますので、ドリップバッグがお湯に浸かっていても構わないのですが、確かにこのほうが、どれだけコーヒーが抽出されたかが分かりやすいです。

そこで早速、このグッズを使ってアイスコーヒーを作ってみました。

氷をたっぷり入れたグラスにスタンドを載せてドリップバッグを引っ掛け、まず少量のお湯で粉を蒸らしてから、ホットコーヒーのときよりも少なめにお湯を注ぐと、グラスの氷が適度に溶けて、美味しいアイスコーヒーができました。

これなら旅行先でもアイスコーヒーが楽しめそうです。

このグッズ、100均ショップで手に入るそうです。ご興味あれば一度お試しください。

コーヒー豆を食べてみた

 店内のコーヒーミルでコーヒー豆をたくさん挽いていると、投入口に一粒だけ豆が残っていることがあります。

 いつもは何も考えずに摘んで捨てるのですが、ある日なんとなく興味が湧き、思い切って食べてみました。

 口に入れた瞬間、表面の硬さに一瞬身構えますが、実際にはそれほどでもなく、奥歯で簡単に砕けます。そのまま噛み続けると、ポリポリした食感が妙に心地よく、全て飲み込んでしまいました。

 驚くような香りや風味、ということではありませんが、むかし口に入れてみたコーヒー豆があまりに苦くて思わず吐き出したことを思い出し、それに比べれば断然おいしいと感じました。

 baisadoのコーヒー豆は、焙煎前に生豆を水洗いしています。また焙煎度をいわゆる「中深煎り」に揃えているため、浅煎りの豆ほどは硬くなく、深煎りの豆ほどは苦くありません。それが食べやすさに繋がっているのかもしれません。

 調子に乗って、コーヒーを淹れた後の粉も少し食べてみましたが、これもなかなかイケました。お湯で粉の成分が引き出されているからか、心持ち強めに香りが感じられます。

 もしご興味あれば、コーヒーを淹れる前のコーヒー豆や、淹れた後の粉を、ちょっと味見してみてください。豆の産地やお店の焙煎の違いによって味わいが違うでしょうし、いくつか食べ比べることで「(食べた時に)好みのコーヒー豆」が見つかるかもしれませんよ。

「スペシャルティコーヒーはピッカーが作る物」

 先日こちらの記事でご紹介した「美味しいコーヒーを飲むために-栽培編-」の著者、ハワイ・コナ在住の山岸秀彰さんが、今年6月に開催された「日本コーヒー文化学会」で講演された際の動画が、YouTubeで公開されていましたのでご紹介します。

ご著書からも感じられる情熱や知識やユーモアが、動画ではさらに強く伝わってきて、大変面白くてかつ考えさせられます。

少しマニアックな内容も含みますが、おいしいコーヒーとは何か、コーヒーのおいしさはどうやって作られるのかについて、実践したことのある人にしかできないコメントが満載です。

お時間がおありの方は、ぜひ一度ご覧になってください。

夏の新商品

6月に入って、一気に蒸し暑くなってきましたね。

baisadoも夏に向けて、新しい商品をご用意しています。

○baisado 夏ブレンド

https://baisado.theshop.jp/items/75028433

昨年秋から、季節ごとのブレンドをご提案していますが、今回は「夏でも飲みたいホットコーヒー」をイメージしながら、爽やかな酸味が特徴のコロンビアをベースに、ほろ苦いグアテマラと華やかなケニアを組み合わせ、すっきりとしたブレンドを作りました。

○エチオピア イルガチェフェ ベレカ G1

https://baisado.theshop.jp/items/71621089

久しぶりにエチオピア産コーヒーをご用意しました。前回の「アダメ」はナチュラル(非水洗式精選)でしたが、今回の「ベレカ(現地の言葉で「尊敬」の意味だそうです)」はウォッシュト(水洗式精選)ですので、コーヒー豆本来の風味が分かりやすいと感じます。イルガチェフェ独特の柑橘系の香りと、明るく爽やかな酸味をお楽しみください。

○アフリカンセット(エチオピア・ケニア・ルワンダ)

https://baisado.theshop.jp/items/75453479

baisadoが現在ラインナップしているアフリカ産コーヒー3種類のセットです。全て同じ焙煎度(中深煎り(2ハゼ直前))に揃えていますので、産地による風味の違いを感じていただけます。同時に淹れて飲み比べるもよし、好みのブレンドを作るもよし、自由にお楽しみください。

○コールドブリュー(水出し)ブレンド

https://baisado.theshop.jp/items/75542302

店内でお出ししているアイスコーヒー用のブレンドです。穏やかな甘さのブラジルをメインに、マイルドな酸味のコロンビアと華やかな香りのケニアを組み合わせた、冷たくてもしっかりと風味を感じられるブレンドです。水出しコーヒー用器具をお持ちの方は、一度お試しください。

また、コールドブリューブレンドを不織布バッグに詰め、ポットに入れて水を注ぐだけでまろやかなコーヒーができあがる「コールドブリュー(水出し用)バッグ」もご用意しています。

すっきりおいしいコーヒーを(適度に)飲んで、熱い夏を乗り切りましょう。

冷たいコーヒー

日差しが強くなり、湿度が上がってくると、よく冷えた飲み物がほしくなりますね。

baisadoでも、先月から冷たいコーヒーをご用意しています。関西では「冷コー(れーこー)」と言ったりもします(死語か?)。

一般的なアイスコーヒーのイメージは、深煎りのコーヒー豆で抽出したコーヒーが、氷を入れた大きめのガラスコップに注がれて提供される、という感じではないでしょうか。目にも涼やかですし、ごくごくと飲めそうです。

ただ、飲み始めに苦味を感じるのと、氷が溶けて徐々に味が薄まっていくのが、あまり好みではありません。そこでbaisadoでは、「しっかり冷えていて、飲み応えはあるが飲みづらくはなく、しかも薄くならない」コーヒーをお出ししようと、ホットコーヒーと同じ焙煎度の豆を使い、ホットコーヒーよりも濃いめ(お湯少なめ)で抽出し、氷を入れた容器に注いで急冷したあと、冷蔵庫で落ち着かせてからご提供しています。

また最近、「コールドブリュー」という言葉を聞いた方もおられると思います。常温の、あるいは冷たい水で抽出する、いわゆる「水出しコーヒー」のことです。成分がゆっくり溶け出すため、お湯で抽出するよりも時間はかかりますが、まろやかな味に仕上がります。敢えて水出しで抽出し、それを温めて楽しむ方もおられるほどです。

baisadoでは、ご自宅で気軽に水出しコーヒーを楽しんでいただけるよう、挽きたてのブレンドコーヒーを不織布の袋に詰めた、「コールドブリューバッグ」もご用意しています。ポットにバッグを放り込んで水を注いでおけば、数時間後には美味しいコーヒーができているという優れものです。

さらに、抽出器具をお持ちの方なら、ドリッパーに入れた粉の上に直接氷を置く方法もあります。氷の量は、おおよそ「抽出したいコーヒーの量+(粉の量の2倍)」で計算できます。寝る前に器具と氷をセットして、翌朝見ると氷が消えてコーヒーができているのは、ちょっと不思議な感じです。ご興味あれば一度お試しください。

冷たいものを摂り過ぎると身体に負担がかかりますが、時には冷たいコーヒーを楽しみながら、暑い夏を乗り切っていきましょう。

酸っぱさと酸味

 baisadoにいらっしゃったお客さんに「お好みはありますか?」とお聞きすると、およそ半数の方が「酸味があんまり得意じゃなくて」とおっしゃいます。そこで、その日のラインナップの中から、酸味が少なめな商品を選んでお勧めしています。

 酸っぱさが前面に出たコーヒー、実は私たちもあまり好みではありません。でも、コーヒーの甘味や苦味を引き立てるような酸味は好きです。英語でも「酸っぱさ」は「sour」、「酸味」は「acidity」と、別の言葉で表現されるそうです。酸っぱさと酸味、何が違うのでしょうか。

 コーヒーの生豆(なままめ)に含まれている糖や酸を焙煎すると、加熱による化学反応によって酸味や甘味や苦味が作り出されます。そのバランスは産地や品種によって異なりますが、焙煎度合いによっても大きく変化します。一般に、焙煎が進むにつれて酸が増えていきますが、さらに焙煎を続けると酸が分解されて減少し、代わりに苦味成分が増えていきます。その結果、いわゆる「浅煎り」では酸味が強調され、「深煎り」では苦味が強調されることになります。

 baisadoでは、全ての商品を同じ焙煎度で仕上げています。いわゆる「中深煎り」と呼ばれ、酸味と苦味のバランスが取れていて、甘味も感じられる、産地や品種の特徴が表現されたコーヒーを目指しています。

 もちろん味覚は個人差が大きいものですが、極端に酸っぱい、あるいは苦いコーヒーだとは感じられないと思います。「酸味があんまり得意じゃなくて」と日頃お感じの方、お店にお越しの際は、一度「おいしい酸味」のコーヒーも試してみてください。

開店一周年

 一年前の4/30に、baisadoは初めて店を開けました。開ける前は恐る恐るでしたが、開けた後は息つく暇もないほどの忙しさでした。いま思えば、自分たちに全く余裕がありませんでした。

 それから一年、(ほぼ)週末の昼間だけの営業を続けてきました。少しずつ自分たちのペースを持てるようになり、コーヒー豆のラインナップを増やすことができました。二度三度とご来店くださるお客さんができ、ご近所の方にも覗いていただけるようになりました。遠くの方がスマホで検索してわざわざ訪れてくださったこともありました。

 前夜からの強い雨が上がった今日は、湿った風が吹く少し肌寒い一日でしたが、いつも通りのんびりしたペースで、お馴染みのお客さんや初めての方に立ち寄っていただきました。

 自分たちが美味しいと感じられるコーヒーを飲みたくて自家焙煎コーヒー店を始めましたので、baisadoのメニューにはコーヒー豆とハンドドリップコーヒーしかありません。そして、そんな「コーヒーだけの店」を一年間続けられたのは、使ってくださった皆さんのおかげです。本当にありがとうございます。

 2年目ものんびりペースのbaisadoを、どうぞよろしくお願いいたします。

ササキスポーツ

 baisadoの西隣には、ササキスポーツというラグビーショップがあります。というより、ササキスポーツの東隣に、baisadoが店を出させてもらっています。

 baisadoの店舗写真には、たいていササキスポーツの大きな看板が映り込んでいますし、宅配業者さんに「baisadoです」と言って通じないときも、「ササキスポーツの隣です」と言えばすぐに分かってくださいます。いっそ店名を「ササキスポーツ喫茶部」に変えようか、と冗談で話すほどです。

 なんと90年前からこの地で営業しておられるそうで、京都のラグビー界ではとても有名なお店なのだそうです。ラグビーを始めたお子さんを連れて店を訪れる、おそらくご自身もラグビーをしておられたであろうお父さんの姿もよく見かけます。かつては店内でジャージも製造しておられたとか。

 もうすぐ90歳になられる店主のおじいちゃんは、baisadoの開店前からずっと親切にしてくださいます。普段は店の奥に静かに座っておられ、開店前と閉店後に会釈する程度のやりとりですが、時々は店頭に顔を見せてくださり、この界隈の昔話や、商売の大先輩としてのアドバイスをくださいます。商売を続けることの難しさと楽しさを背中で教えてくださる、ありがたい存在です。

 店を始めて1年に満たない私たちにとって、90年は途方もない長さですが、お客さんがあってこそ店を続けられるということは理解できます。一日一日丁寧に商売して、いつかおじいちゃんに「なかなか頑張っとるな」と言ってもらえたら嬉しいです。

baisadoの本棚から(6)

 前回ご紹介したハワイ コナ産コーヒーにちなみ、今回はこの本をご紹介します。

山岸秀彰「美味しいコーヒーを飲むために-栽培編-」(いなほ書房)

 著者はニューヨークで活躍した投資銀行マンで、44歳にしてアーリーリタイア。美しい夕焼けを求めて夫婦でハワイ島・コナ地区に移住しましたが、家の敷地に植っていたコーヒーの木に興味を持ち、経験ゼロからコーヒー栽培を始めた方です。持ち前の探究心と勤勉さで、抜きん出て高品質なコナコーヒーを生産しましたが、重労働のため体を壊し、残念ながら2020年に販売を休止されました。この本では、著者自身が実体験から獲得した、美味しいコーヒー豆作りの持論が展開されます。

 著者は、美味しいコーヒー(クリーンでフルーティで甘くて、何時間かけて飲んでも飲み疲れない)を実現できるコーヒー豆を、以下のように定義しています。少し長いですが、引用します。

 一本のコーヒーの木から実を摘む際に、水分不足でスカスカの実、カラカラに乾いた実、栄養不足で黄色く変色した実、実の付け過ぎで突然死した実、菌類の影響で茶色に変色した実、高温で疲弊した実、直射日光に焼けた実、窒素焼けの実、虫食いの実、過熟の実、腐った実、カビの生えた実など、あるいは誤って摘んでしまった未熟の実などの欠陥実は別の袋に分別しながら、完熟した実のみを収穫用バスケットに入れ、摘み終わった木には、これから熟す緑の実だけが残り、そこには完熟みや欠陥実は一つも残さず、かつ、地面に実を落とすことなく摘んだコーヒー

 「熟した実と欠陥実は全て摘み取り、そこから欠陥実を全て取り除き、逆にこれから熟す実は一つも摘まない」という、言葉にすれば分かりやすいことですが、これを実行すること、他人に実行させることがいかに難しいかを、著者は繰り返し語ります。そしてそれは、実を摘み取るピッカーに対する報酬の極端な低さに起因することを指摘します。これを改善するには、消費者が真に美味しいコーヒーを知り、安くても美味しくないコーヒーを避けることで、生産者がピッカーに十分な報酬を支払うよう仕向けなければならない、そうしなければ遠くない時期に美味しいコーヒーは飲めなくなる、と著者は警告します。

 健康に育った木に実った、健康に完熟した実を、ピッカーが丁寧に摘むことこそが、美味しいコーヒー豆づくりの秘訣だという著者の主張は、言われてみれば当然で、しかしはっきりとは気付いていませんでした。生豆を焙煎して販売する私たちには、生産者やピッカーにまで想いを致していそうな取引先から生豆を仕入れることしかできませんので、これまで以上に仕入れに対して注意深くなろうと思います。

 内容はシリアスですが、文章は非常に洒脱で、時に笑わされつつスラスラと読めてしまいます。コーヒー生産の実態について興味がおありの方は、ぜひ一度お読みになってください。

春の新商品(2)

昨秋収穫されたばかりの、珍しい100%ハワイコナコーヒーを、期間限定でラインナップします。

ハワイ コナ リルジーン農園 ティピカ

学生の頃、コナコーヒーは「粉コーヒー」のことだと思っていました。大人になっても、ただ高いだけのコーヒーだと、飲んだこともないのに偏見を抱いていましたし、ハワイ旅行のお土産にもらったコナコーヒーは、ほんのちょっとしかブレンドされていませんでした。

しかし、この仕事を始めてから、非常に貴重な、かつおいしい珈琲であることを知りました。

コナは、ハワイ諸島最大の島であるハワイ島西海岸に位置します。そもそも「コナ」とは、現地の言葉で「西」のことだそうです。

東西3km・南北35kmの「コナコーヒー・ベルト」と呼ばれる地域では、火山灰性土壌の水捌けのよさと豊富なミネラル分、朝晩の気温差の大きさ、海からの湿気による霧の多さなどの条件に恵まれ、標高は数百メートルと他の産地に比べて低いにもかかわらず、世界トップクラスのコーヒーが生産されています。

100年以上前、日本から海を渡った人々が、苦労してコーヒーを栽培し、今に続く名産地を築かれたのだそうです。

ところが、先進国での栽培のため人件費は高騰し、世界屈指の高いコーヒーになってしまいました。また、悲しいことですが商品偽装も横行しているようです。

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「リルジーン農園」は、生産・精製・輸出入・卸売を全て自社で手がけている日本人経営の農園で、トレーサビリティは完璧です。また、ブルボン種と並ぶコーヒーの2大原種であるティピカ100%であることも大きな魅力です。

香り、甘味、酸味、コクをバランスよく兼ね備えた、混じり気のない100%コナコーヒーを、ぜひこの機会に一度お試しください。