春の新商品(2)

昨秋収穫されたばかりの、珍しい100%ハワイコナコーヒーを、期間限定でラインナップします。

ハワイ コナ リルジーン農園 ティピカ

学生の頃、コナコーヒーは「粉コーヒー」のことだと思っていました。大人になっても、ただ高いだけのコーヒーだと、飲んだこともないのに偏見を抱いていましたし、ハワイ旅行のお土産にもらったコナコーヒーは、ほんのちょっとしかブレンドされていませんでした。

しかし、この仕事を始めてから、非常に貴重な、かつおいしい珈琲であることを知りました。

コナは、ハワイ諸島最大の島であるハワイ島西海岸に位置します。そもそも「コナ」とは、現地の言葉で「西」のことだそうです。

東西3km・南北35kmの「コナコーヒー・ベルト」と呼ばれる地域では、火山灰性土壌の水捌けのよさと豊富なミネラル分、朝晩の気温差の大きさ、海からの湿気による霧の多さなどの条件に恵まれ、標高は数百メートルと他の産地に比べて低いにもかかわらず、世界トップクラスのコーヒーが生産されています。

100年以上前、日本から海を渡った人々が、苦労してコーヒーを栽培し、今に続く名産地を築かれたのだそうです。

ところが、先進国での栽培のため人件費は高騰し、世界屈指の高いコーヒーになってしまいました。また、悲しいことですが商品偽装も横行しているようです。

https://www.facebook.com/story.php?story_fbid=pfbid02hGaMTFXXgXaWYiDfvap4yc4HRHztrE4kgLN21pqhrUSwVxyjRbeTYnjpnWHmkKK1l&id=100064865100876

「リルジーン農園」は、生産・精製・輸出入・卸売を全て自社で手がけている日本人経営の農園で、トレーサビリティは完璧です。また、ブルボン種と並ぶコーヒーの2大原種であるティピカ100%であることも大きな魅力です。

香り、甘味、酸味、コクをバランスよく兼ね備えた、混じり気のない100%コナコーヒーを、ぜひこの機会に一度お試しください。

春の新商品(1)

 少しずつ春が近づいてきました。baisadoにも新しい商品が入ってきています。

第一弾はこちらです。

ルワンダ スカイヒル ブルボン

 ルワンダという国をご存知でしょうか。アフリカ中部にある、コンゴ・ウガンダ・タンザニアなどに囲まれた内陸の小国です。元は王国でしたが、19世紀末にドイツ領、20世紀前半にベルギー領となり、1962年に独立を果たしました。赤道にちかいにもかかわらず、「千の丘の国」と呼ばれるほどの海抜の高さのため気候は過ごしやすく、アフリカ大陸で人口密度が最も高いのだそうです。

 ルワンダのコーヒー栽培はドイツ領の時代から始まりました。1990年代の大虐殺を乗り越え、現在は再び高品質なコーヒーを生産しており、伝統品種であるブルボン種が主に栽培されています。

 爽やかな酸味とフルーティさが特徴ですが、同じアフリカのエチオピアやケニアに比べると軽やかかつ穏やかな印象です。味わいはしっかりあるのにスイスイ飲めて、思わずおかわりしたくなるような、そんなコーヒーです。ぜひ一度お試しください。

 またbaisadoでは、現在ブルボン種のコーヒーを3種類ラインナップしています。ブラジル セラード ブルボン クラシコグアテマラ アンティグア アゾテア農園 ブルボン SHB、そしてこのルワンダ スカイヒルです。これらは全て同じ方法(水洗式)で精選されており、焙煎度も同じ(中深煎り)に揃えていますので、味わいの違いには生産国の土壌と気候の違いが強く反映されていると思います。

 オンラインショップにもセットをご用意しました。この機会に、ブルボン3種の飲み比べはいかがでしょう。

ブルボンセット(グアテマラ・ブラジル・ルワンダ)

baisadoの本棚から(5)

「このコーヒー、どんな味ですか?」

というお客さんの質問に、いつも悩みながらお返事しています。「甘い」「苦くない」「酸っぱくない」ぐらいはパッとお答えできるのですが、より細かい風味を表現するのはなかなか難しいです。

実は、コーヒーの風味表現には辞書のようなものがあり、専門的なトレーニングを積むと、自分が感じたコーヒーの風味を共通の言葉で伝え合うことができるそうです。が、私たちはまだその域に達していません。

そこで今回は本ではなく、コーヒーの風味表現を調べるうちに発見し、いまお店の壁に貼ってあるマップをご紹介します。

ASEAN Coffee Flavour Sphere

アセアン諸国のコーヒー生産量は、世界全体の1/3を占めているそうですが、現在世界で標準的に使われている、コーヒーの風味表現の用語集には、アセアン諸国(というより欧米以外の地域)では一般的な表現が含まれていないそうです。

そこで、アセアン各国が加盟するASEAN Coffee Federation傘下の研究機関ASEAN Coffee Instituteが、アセアン地域独自の風味表現を加えた用語集を開発し、美しいチャート形式で発表しました。

このチャートでは、9つの主要な風味表現(フルーティ、スウィート、ナッツ など)ごとに、世界標準の用語にアセアン独自の用語が付け加えられています。特に用語が多いのは「フルーティ」の中の「トロピカル」や、「フローラル(花のような)」で、あまり聞き慣れない果物や花の名前がたくさん載っています。

もし日本でこのようなチャートを作ったら、すだちとか桜とか味噌とか、そんな用語が出てくるかもしれません。

上のリンクからチャートをダウンロードできますので、ご興味あれば一度ご覧になってください。

baisadoの本棚から(4)

京都には、ユニークな喫茶店が数多くあり、歴史ある店と新店が共存しています(僭越ながらbaisadoも)。

今回は、そんな京都の喫茶店史を俯瞰できる本をご紹介します。

京都喫茶店クロニクル 古都に薫るコーヒーの系譜

明治期の大学生に重宝された「ミルクホール」や、お酒も飲ませる大正期の「カフェー」から話は始まり、昭和初期にオープンし今も現役の「進々堂」「フランソア」「築地」や、戦後すぐにオープンした「イノダコーヒ」「スマート珈琲店」「喫茶ソワレ」など、店と人の両面から京都の喫茶店の歴史を紐解いており、興味がつきません。

京都に出てきてすぐの頃、大学の先輩に連れられて行った喫茶店のコーヒーを、初めは濃すぎて飲めませんでした。しかしそのうちそれが当たり前になり、毎日通う行きつけの店になりました。コーヒーの美味しさと面白さを教えてくれた、その店の店主が修行したお店も取り上げられており、ちょっと嬉しくなりました。

最近話題のお店までしっかりカバーしているこの本を片手に、京都の喫茶店巡りはいかがでしょうか。

baisadoの本棚から(3)

今回は大判のビジュアル本をご紹介します。

ビジュアル スペシャルティコーヒー大事典 2nd Edition

「ナショナルジオグラフィック」という雑誌から出ており、最初はちょっと不思議な感じがしましたが、内容を見て納得。世界のコーヒー生産国が地域別に詳しく紹介されており、写真も満載。コーヒー好きの方はもちろん、地理好きの方にも楽しめる内容です。

本の前半は、世界チャンピオンになったこともあるイギリス人バリスタが、植物としてのコーヒーとその飲用の歴史や、自宅で美味しくコーヒーを楽しむためのコツなどを、分かりやすく解説しています。

どこから読んでも楽しめて、写真を眺めるだけでもワクワクする、そんな本です。値段と大きさが玉に瑕ですが、図書館などで見つけられたら、是非一度ご覧になってください。

baisadoの本棚から(2)

タイトルを変えて、お店に並べている本をご紹介していきます。

今回は、川島良彰著「コーヒーハンター」です。

コーヒーハンター―幻のブルボン・ポワントゥ復活

街の自家焙煎コーヒー屋の息子が、高校卒業と同時に実家を飛び出して中米エルサルバドルでコーヒー栽培技術を学び、その経歴を見込まれ日本最大のコーヒー会社に就職、ジャマイカ、ハワイ、スマトラなど世界のコーヒー名産地を飛び回り、ついにはフランス領レユニオン島で幻のコーヒー品種を現地スタッフと協力して復活させる、というお話です。

これがなんと実話。著者の飾らず率直な筆致に引き込まれ、一気に読んでしまいました。

コーヒーに関する知識や現地事情(必ずしも良いことばかりではなく)が分かるだけでなく、裸一貫で世界を雄飛する日本人の冒険譚としても楽しめます。

著者は現在超高級コーヒーブランドを立ち上げる一方、「コーヒーで世界を変える」べく様々な活動に取り組んでおられます。これまた15年前に出版された古い本ですが、もし見つけたらぜひ一度読んでみてください。

コーヒーにまつわる本(その1)

明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

年明けにちなみ(?)、コーヒーにまつわる本をいくつかご紹介しようと思います。

第1回は、石脇智広著「コーヒー『こつ』の科学」です。

コーヒー「こつ」の科学―コーヒーを正しく知るために

15年も前の本で、見た目も地味ですが、コーヒーに関するさまざまな情報が、とても親しみやすい、しかし科学的な裏付けのある言葉で、コンパクトにまとめられています。

副題に「コーヒーを正しく知るために」とあるように、「これが正解」とか「こんな時はこうすればよい」という断定的な表現がほとんどなく、「科学的にはここまでは言える、でも結局は好みだから」と、最終的な判断を読み手に委ねてくれています。著者はコーヒー商社の社長さんで、学生時代コーヒーにハマり、研究者としてコーヒー業界に入られたそうです。

お店を始めるなんて考えもしていなかった頃、なんとなくの直感でこの本を手に取り、その時も面白く読んでいたのですが、いま改めて読み直してみると、一つ一つの情報が実感を伴って頭に入ってきます。立場にかかわらず楽しく読めて役に立つ、おすすめの本です。

摘みたて・焼きたて・挽きたて・淹れたて

 「焼きたてのパン」「揚げたてのトンカツ」「搾りたての日本酒」。どれも聞くだけで美味しそうです。「〜たて」という言葉は、食品の新鮮さを強くアピールしてくれます。

 コーヒーも食品ですので、新鮮さは重要です。ただしコーヒーの新鮮さといっても、摘みたての生豆、焼きたての焙煎豆、挽きたてのコーヒーの粉、淹れたてのコーヒーと、いろいろあります。

 このうち違いが一番分かりやすいのは「挽きたて」でしょうか。焙煎豆を挽くと、空気に触れる面積がずっと大きくなるため、酸素や日光の影響を受けやすくなってしまいます。粉が酸化すると、おいしい「酸味」とは異なる、飲みにくい「酸っぱさ」が感じられるようになりますので、挽いた豆は密封容器に入れて冷暗所に保管し、できるだけ早めに飲み切ることをお奨めします。

 年内に収穫された「摘みたて」の生豆は、「ニュークロップ(新豆)」と呼ばれ珍重されます。収穫から日の浅い生豆には爽やかな草のような香りがあり、淹れたコーヒーの香りや味わいも力強いように感じます。日本では、早ければ10月ごろ、ブラジル産のニュークロップが店頭に並び、他国産もその後ニュークロップに切り替わっていきます。これは良い悪いというよりも「秋から冬のお楽しみ」と捉えています。

 焙煎豆については、必ずしも「焼きたて」が最高とは限らない、と感じています。コーヒーの香り成分の多くは揮発性が高いため、焙煎直後の豆を使えば最も風味豊かなコーヒーになるはずなのですが、焙煎直後の豆は炭酸ガスが活発に放出しているため、ドリッパーにお湯を注いだ際に粉が膨らみ過ぎ、成分を抽出しきれない場合があるのです。

 焙煎後一晩寝かせると、炭酸ガスの放出ペースが落ちて豆が落ち着き、成分がしっかり抽出される印象があります。豆のまま密封容器に保管すれば、粉よりも長期間風味を保てますので、通常baisadoでは、焙煎後1〜2週間は寝かせた豆を使ってコーヒーをお出ししています。

 最後に「淹れたて」については、時間の経過とともに風味の変化を楽しむものだと考えています。淹れたてのコーヒーは温度が高いため、比較的酸味が強く感じられますが、時間が経過して温度が下がると、今度は甘みが強く感じられるようになります。baisadoの生豆は、焙煎前に洗って干していますので、時間が経っても飲みにくくはならず、風味の変化を素直に感じていただけるはずです。

 ですので、「挽きたて」以外は劣化ではなく変化であると捉えて、さまざまな条件の違いを楽しんでいただければと思います。

冬の新豆(その1)

 お米に「新米」、お酒に「新酒」があるように、コーヒーにも「新豆」があります。baisadoでも、いよいよ今年収穫された新豆(ニュークロップ)をお届けします。第一弾はこちら。

ブラジル セラード 一番摘み ブルボン 22/23

 今回は、これまでご提供していた「セラード 山口農園 ブルボン」より一足先にニュークロップに切り替わった、同じセラード地域の別の農園(コンゴーニアス農園)産の生豆を仕入れました。

 生豆がたっぷり入った袋を開けた時の第一印象は「香りが強い」こと。焙煎豆の香りとは全く異なりますが、草のような青い香りがふんわりと辺りに漂い、生豆は植物なんだと実感させられます。

 また「山口農園」はナチュラル(非水洗式精選)ですが、今回の一番摘みはセミウォッシュト(半水洗式精選)ですので、同じ伝統品種のブルボンでもキャラクターの違いを感じられるかもしれません。

 冬の楽しみ、ニュークロップをぜひ一度お試しください。

https://baisado.theshop.jp/items/69378487

秋の新豆(その2)

 先日のインドネシアに続き、11月に入荷した新しい豆をご紹介します。初登場のエチオピア産です。

エチオピア イルガチェフェ アダメ G1 Natural

 エチオピアはコーヒーの原産地で、現在も世界第5位のコーヒー生産国です(2020年・国際コーヒー機関調べ)。エチオピアのコーヒーは、紅海を挟んだ対岸の国イエメンとともに、古くから「モカ」と呼ばれ親しまれてきました(ちなみに「モカ」は紅海に面したイエメンの港の名前です)。

 エチオピアでは現在も野生種に近いコーヒーが栽培されており、特に南部ゲデオ県イルガチェフェ郡周辺のコーヒーは品質が高いとされています。生豆は他国のものに比べ小粒で、焙煎中には柑橘系の香りがほのかに漂います。抽出されたコーヒーには、明るく爽やかな酸味と穏やかな柑橘香が感じられます。

 イルガチェフェのコーヒーは水洗式(ウォッシュト)で作られることが多いそうですが、今回はエチオピア伝統の非水洗式(ナチュラル)で作られた生豆を選びました。「アダメ」とは現地の言葉で「サボテン」の意味があるそうです。また「G1」はエチオピアコーヒーの最高グレードを意味します。香り高く爽やかな味わいのコーヒーを、ぜひ一度お試しください。

https://baisado.theshop.jp/items/69144983